一般社団法人 全国心理業連合会(全心連)

Japanese Organization of Mental Health and Educational Agencies

私たち心理カウンセラーの役割を解説します。

公共分野における役割

公共分野における公務員活動を、
心理カウンセラーが支えています。

プロフェッショナル心理カウンセラーは、公共部門のEAPにおいて重要な役割を担っています。
EAPとは、Employee Assistance Programの略称で、一般に「従業員支援プログラム」と呼ばれ、企業組織に属する従業員のメンタルサポート全般のことを指します。そしてこの仕組みは、私企業においてのみならず、公的機関においても所属人員の心のケアの維持に大きく役立っているのです。プロフェッショナル心理カウンセラーは、こうした公共部門の心のケアのためのEAP分野で重要な役割を持ち、長年にわたって多くの経験、実績を上げてきています。

公共分野におけるストレス

プロフェッショナル心理カウンセラーが活躍している公共部門には、自衛隊/警察/消防などの国家組織、また県庁などの地方自治体があります。
こうした公共部門は、その業務の特質上、大変ストレスが大きいものです。
たとえば、自衛隊員や警官は、その職務自体がある意味特殊であり、職務自体にストレスを生む要因があります。
また、国家の治安を担うという責任感の大きさや、極限状況における活動、あるいは実際にそのような極限状況に直面しなくても、そうした状況を常に想定した訓練など、常に大きなストレスにさらされています。さらに、勤務状況のハードさも加わることでしょう。

このような大きなストレスに常にさらされている公共部門の職員達は、一般の方々よりもメンタル面での危険が大きいのは当然と言えるでしょう。使命感を持ち、訓練を行っている彼らは、一般の方々よりもストレスに対する耐性が高いのが一般的ですが、それでも時にストレスの大きさによりメンタル面でのバランスが崩れてしまうことも多々あるのです。

公共分野おけるメンタルサポートの5つのアプローチ

この分野において、プロフェッショナル心理カウンセラーは5つの手法でメンタルサポートを行います。

  1. ホットライン
  2. ストレスチェック
  3. カウンセリング
  4. リワークトレーニング
  5. ストレスマネジメント教育

の5つです。

公共部門におけるEAPのアプローチ

「ホットライン」は、その名の通り、緊急を要する状況に対応する電話相談です。いざというときに、その場ですぐに相談できる相手を確保するために、プロフェッショナル心理カウンセラーは24時間365日の体制で電話相談ホットラインを維持します。

「ストレスチェック」は、定期的な心の健康診断です。適切な設問の設定と、回答内容を分析する経験豊かな知見により、メンタルバランスが崩れかかっている方、鬱状態や問題が発生する予備軍の方をいち早く識別し、適切な対応を行うことによって、問題が発生することを未然に防ぐのです。

「カウンセリング」は、上記で発見された予備群、およびすでに問題が発生してしまった方に対して、その状態から自らの力で立ち直るためのサポートを行うものです。医師による治療が必要な方は、速やかに医療機関にリファーを行いますが、まだそれより手前のステージにいる方には、様々な心理療法を駆使したカウンセリングにより、健常なメンタルバランスを取り戻すお手伝いを行うのです。

「リワークトレーニング」は、カウンセリングにより回復してきた方の職場復帰支援です。カウンセリングの成果によってメンタルバランスが健常な状態に戻ってきても、ストレスに対する耐性が以前のままだと、職場に復帰して大きなストレスに直面したときに、再発してしまうリスクがあります。そのために、リワークトレーニングでは、職場に復帰してもストレスに対処できるように、ストレス耐性を高めるためのものの考え方や習慣を身につけるトレーニングを行います。

「ストレスマネジメント教育」は、上記同様ストレス耐性を高めるための教育と共に、職場におけるストレスそのものを軽減するための教育を行います。コミュニケーションの取り方、表現の仕方、ハラスメントに対する意識、など、ストレスそのものの発生を軽減するためのさまざまな考え方や手法をお伝えしていくのです。

心理カウンセラーの活動による大きな成果

このような5つの手法でメンタルサポートを行うプロフェッショナル心理カウンセラーは、公共部門のEAPで大きな実績を上げています。
たとえば、全心連加入の認定相談機関の1社では、関東周辺の自衛隊駐屯所の心のケアサポートを20年以上にわたって継続しています。そこでは、年間1000件以上のカウンセリングを行い、ホットラインを実施していた時期には、5名のカウンセラーが常駐して24時間365日で隊員の方々の対応を行っていました。
あるいは、警視庁では、傘下の全警察署を1年間講師が巡回して、ストレス耐性を高める研修を行っています。また、リワークトレーニングでは、週2回1ヶ月にわたる集中講習でストレス耐性を高める考え方や習慣をトレーニングし、このトレーニングを受けた受講者は、職場復帰後の再発はほぼゼロという高い効果/実績を産んでいます。

このように、プロフェッショナル心理カウンセラーは、公共部門のEAPの提供において、重要な役割を担っています。
今後の社会情勢を踏まえ、その重要生はますます高まっていくでしょう。

▲ページトップへ戻る