一般社団法人 全国心理業連合会(全心連)

Japanese Organization of Mental Health and Educational Agencies

私たち心理カウンセラーの役割を解説します。

日本のメンタルサポートの現状

心理業における役割分担

心理相談には幅広い課題が存在する

「心理相談」の領域には、「病気」の人もいれば、話し相手との対話を通して解決が可能な「悩み」の人もいます。「病気」の場合には投薬など医師の手による治療が必要ですが、「悩み」の人の場合には、丁寧に話し相手になることによって心の重荷が解き放たれて改善することもあります。投薬することが逆効果になることもあるのです。
こうした幅広い課題に対処するために、「心理」を扱う領域には、対象の重さ/深さに応じ、大きく分けて「治療(医療)」「アセスメント」「心理療法」「カウンセリング」というアプローチがあります。

4段階のアプローチ

「治療(医療)」は、精神科/心療内科などの医師が行います。精神病と判断された患者さんに対する医療行為となります。
「アセスメント」とは、心理状態を把握する為の各種心理検査です。「ロールシャッハ」をはじめとした知能検査、発達検査、性格検査によって知能や性格、あるいは心理状態を知るものです。これは主に臨床心理士によって行われます。
「心理療法」には、精神分析や行動療法などさまざまな手法がありますが、主に無意識や過去のトラウマ等に焦点を当て、認知や感情、行動の変容をもたらします。箱庭療法からアートセラピーまで手法は幅広く、臨床心理士、心理カウンセラーがさまざまな療法に取り組んでいます。
「カウンセリング」は、「リスニング」や「対話」を通して本人の回復をはかるアプローチと言えます。実生活における周囲や社会との関わりなどの日常的な問題を取り扱うことが多く、主に心理カウンセラーによって行われています。心理カウンセラーは、相談者の話を良く聞き、共感したり要約したり示唆を行う、といった「対話」を通して相談者が自分も問題を整理し、自分自身で解決の方向性を見いだして自己成長することを助けます。

心理カウンセラー、臨床心理士、医師、それぞれの役割

このように、一言で「心理相談」「メンタルサポート」といっても、精神科医が扱うべき精神病の治療から、アセスメント、各種心理療法による改善、カウンセリング、と幅広い課題とアプローチが存在しており、その中で医師、臨床心理士、心理カウンセラー、がそれぞれの役割を担っているのです。

心理業における役割分担

心理カウンセラーの役割の高まり

ストレスマネジメントが課題になっている現代社会では、特に「心理カウンセリング」の役割が重要になっています。もちろん、治療や投薬が必要な精神病患者は速やかに医師の手による診断が必要です。が、多くの場合、いきなりそこまで症状が悪化する前に、初期段階の悩みや軽度の鬱状態があります。その段階で適切に話を聞くことや対話を通して、相談者の心が軽くなり、気づきを得て、元気な状態に回復し、重度の鬱状態に進行したり自殺を防止する効果があるのです。
仕事の悩みで不眠症に陥っている方には、睡眠薬で解決を図るよりも、悩みをじっくり聴き、時に心理療法を行いながら対話を通して問題を整理し、自己発見・自己成長を通して問題を解決していくアプローチが有効な場合も多いのです。

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