全心連ウクライナ「心のケア」交流センターの心のケア活動も4ヶ月がたち、実は心配なことがありました。たとえば動物園や水族館など、子どもと母親の心のケアの機会は多くある。これは、ウクライナから避難されてきた方々は母親と子ども、というケースが多いとお聞きしていたところからでした。ただ、ウクライナから避難されてきた方々と多く接していると、お一人の方や、ティーンエイジャーもいる。特にティーンエイジャーにとっては、動物園や水族館などには行くのだろうか?交流会には興味があるのだろうか?そう考えると、心のケアが行き届いているのだろうか・・・?という疑問がわいていました。
代表のテレビ出演をきっかけに、自らも音楽を通して難民支援をされているギタリストのSUGIZO氏とお会いしました。ウクライナのことについてはなんでもやりたいと思っています、と静かに語られたSUGIZO氏には、強い想いが秘められていることを感じていました。そのSUGIZO氏から、ぜひウクライナ避難民の方々へと、LUNA SEA復活祭にご招待下さいました。そんなすごいところに行かせてもらって大丈夫なんだろうか?とドキドキ、そしてとても嬉しい出来事である一方、希望者が大変多いことが予想される中で数に限りがあるプレミアムチケットをどうすれば・・・?と考えた結果、まさにティーンエイジャーには音楽が有効なのではないか?と思いました。そこで今回は、ティーンエイジャーにも届くであろう方法でお声をかけ、予想通り希望者が大変多い中で、ティーンエイジャー、お一人の方、音楽が好きな方を中心に行かせていただくことにしました(参加できなかった皆様ごめんなさい!)。
日本のロックバンドのライブ。日本語がわかるわけではないし、音楽は好みもある。ウクライナの方々にはどうだろう・・・とも思っていましたが、驚きでした。こんな笑顔は見たことがないというような満面の笑顔で、いいね!とライブ中に何度もサインを送ってくる。「日本で生きる価値が見出せない」「ウクライナに帰りたい」とカウンセリングで言っていたティーンエイジャーたちが、音楽に身を任せ、リズムを取りながら恍惚としている。「体の中からエネルギーがバーッと湧いてくるような気持ち」と嬉しそうに語ってくれました。
音楽すごい、LUNA SEAすごい、そしてSUGIZOさんとってもすごい!終了後にウクライナ避難民の方々お一人おひとりに英語で語りかけて下さり、さらにみんな笑顔、笑顔。日本に来てこんなに音楽を楽しめたのはきっと、初めてだったのではないかと思います。
クリミアから来ていた方は2014年以降、コンサートが開かれなくなったそうで、実に10年ぶりくらいに生の音楽を楽しんだのだそうです。また、ウクライナで負傷し、日本でリハビリ中の方は日本の音楽が大好きで、LUNA SEAの歌で日本語を覚えたのだそうです。そんな彼が憧れのLUNA SEAのライブに来れるとは、ご本人も思いもしなかったような奇跡。なんとか実現を!と力を尽くした2日間でした。
音楽は、平和でないと奏でられない。
音楽が人の心の力を呼び起こし、生きるチカラが平和につながることもある。
ウクライナの若い世代の方々は、戦争で自分の人生が狂わされる理不尽を受け止めるしかありません。それを抑えて「生きる意味がわからない」とうつ状態になることもあります。その原因は、平和な世界を守れなかった私たちすべての大人にあるのではないか、と胸が痛くなります。大人のように割り切れない、小さな子どものように泣きじゃくれない、行き場のない怒りと苦しさを抱えながらこの日本にいる・・・そのような世代の方々にどんな心のケアができるのだろうかと模索していました。そんな若者たちの「心のケア」として、すばらしい日本のアーティストが手を差し伸べてくれて実現した「音楽で心をつなげる」という今回のプロジェクト。ライブが終わった後に、ある参加者の方からメッセージをいただきました。
「今日、本当にありがとうございました!!
このようなイベントを訪ねて、「あ、私は生きている」と思いになります。
この一週間はとても辛かったです。いっしょけんめい頑張ったけど、またすごく寂しくて、「意味はない」と考えました。でも、今日、コンサートに行って、皆さんにあって、明るい気持ちになりました。ありがとうございます!」
一人では何もできないけれど、多くの方々に支えられ、私たちは「心のケア」をさせていただいているのだと思います。SUGIZOさんは最後にみんなに語りかけておられました。「必ず、平和になったウクライナに行って、演奏するよ、約束する」、とても心に沁みました。みんなが生きて、平和になったウクライナで音楽が聴けますように。SUGIZOさんの演奏が聴けますように。SUGIZOさん、LUNA SEAのみなさま、サポート下さったスタッフのみなさま、本当にありがとうございました。心より御礼申し上げます。
参加人数:
20名(ウクライナの方、日本人ボランティア等含む。2日間合計)