ウクライナの方々から、日本での生活においてなかなか神経が休まらなかったり、戦争トラウマに苦しんでいたり、というお話を個別でのカウンセリングの中でもよくお聴きするようになりました。以前より、郊外の自然豊かな場所でゆったりし、動物とふれあったり、バーベキューをしたりなど、20名限定の心のケアキャンプを行ったらどうか?と考えていました。今回、全面ご協力くださったのは、神奈川・小田原にある「サドルバック牧場」さん。海を見下ろす絶景のロケーションで、自然と、動物たちとのふれあいを行える場所で、社長はじめスタッフの皆様からもウクライナのサポートになるならぜひ、とのことで実現することになりました。
関係各所と調整し、日程が決まり、プログラム概要が決まり、いざ募集!ということでお声をかけてみたところ、なんと定員をはるかに超える50名以上の希望者が・・・そして日に日に希望者が増える・・・ということもあり、もとは1泊2日のキャンプを予定していましたが、できるだけ多くのウクライナの方々にご参加いただけるよう、急遽、日帰りで2回行く、という形に組み換えました。また、ウクライナの方々同士でコミュニケーションが取れるように、との思いからバスを手配しました。今回は日本人ボランティア希望者も多かったのですが、ウクライナの方々の参加を優先し、日本人の参加人数をできる限り絞りました。サドルバック牧場さんも、私たちスタッフも、少数精鋭で皆様の心のケアにあたることになりました。もちろん、いつも以上に準備を重ねて当日を迎えたのは言うまでもありません。
◆8:30 集合
新型コロナウイルス感染症などの心配もありましたが、8/20、8/21とも全員参加!嬉しい!全員集合した時点で小田原に向けて、バスで移動開始。
特に1日目の8/20はこの渋滞!バスの中では自己紹介、一言ずついただきながら、参加者のみなさん同士での交流をはかっていただきました。馬とのふれあいの注意点や、流鏑馬についてもご説明。ウクライナの方から、ウクライナ・コサックにも流鏑馬みたいなのがあるんですよーとYouTubeを見せてくれました(これはなかなかすごかった!)。まだかな・・・と少し、疲れが見えてきたころに海が見えました!
ようやくサドルバック牧場に到着。いよいよ牧場での体験です。
◆お昼ごろ~ 動物とのふれあい、乗馬・流鏑馬体験
サドルバック牧場の社長からウクライナの方々への、とても心あたたまるメッセージからスタート。早速、馬とのふれあい。牧場の馬たちはおとなしくて人懐っこい子ばかり、これだけでじゅうぶん癒されます。
「弓を引いてみたい人はこちらへ!」とのお声がけで、弓矢体験。弓を引く時には深呼吸して、集中することが必要。これで心の整え方も習得してもらえたらいいな。子どもたちもがんばりました。
いよいよ馬に乗ってみることに。ちょっと緊張しながらも、少しずつ馬と呼吸をあわせていくことができたようです。流鏑馬に挑戦した方もおられ、もう1回やりたい!というティーンエイジャーも。
◆14時ごろ バーベキュー
バーベキューの食材は、地元のお肉屋さんや八百屋さんが協賛下さったとのことで、ウクライナから避難されてきた方々もとても感動されていました。大切なのは、いろんな人が応援してくれている、ということなのです。また、バーベキューはウクライナの参加者のたくさんの方々もサポート下さいました。みなさんとっても手際がいい!と、いうことは、ウクライナでは日常的にバーベキューなどされていたんだろうな・・・と切なくなりました。
デザートに、ウクライナの方々も大好きなスイカ!細やかなお心遣いに心があたたかくなります。
◆15時過ぎ お礼の餌やりとふれあい体験
サドルバック牧場にはヤギや豚もいて、この子たちもとっても人懐っこくてかわいかったです。馬たちも含めて餌をあげ、たくさんなでなでして、ありがとうの気持ちをたくさん伝えました。
サドルバック牧場のみなさんにも心からのお礼を。ウクライナの方々もそのおもてなしが深く、心に染み入ったようでした。「また弓もやりたいし、ここで農業したり、動物たちの世話をしたりして、こんな場所に住みたい」そんなお声もありました。
◆16時前 お別れ、海へ
サドルバック牧場とはここでお別れです。在日ウクライナスタッフのイリーナさんから、ウクライナの方々は海に行きたい人が多いと思う、とのことからこの後、小田原の御幸の浜に移動します。バスの出発前に、ウクライナと日本の旗を持って、お馬さんたちが見送りに来てくれました!バスの中では誰からともなく「ありがとうって日本語で言おう!」と言い始め、「アリガトーゴザイマース!!」の大合唱。すごく感動的でした。
◆16時ごろ 小田原・御幸の浜
ちょっとリラックスタイムね、と立ち寄った小田原の海。私たち日本人スタッフは、波も高くなってきたし、クラゲも出るし、ちょっと気をつけて!と心配していましたが、このはしゃぎよう・・・私たちの方が心が洗われました。「生まれた時から海の近くに住んでいて、海は自分の生活の一部だったんです。でも、今は、たくさんの爆弾が配置され、すっかり泳げない海になってしまった」そう話していた親子は少しでも、ゆっくりできたかな・・・
◆17時ごろ 東京へ戻り
帰りのバスではみなさんから一言ずついただき、思いを共有しました。私たちからも改めて、ウクライナのみなさんにメッセージをお伝えしました。
今回の「サドルバック牧場 アニマルセラピー的心の休日」は、サドルバック牧場さんに格段のお心遣いをいただきました。牧場でのすべての体験を無償提供下さったのはもちろんですが、あらゆるところにウクライナの国旗を掲げ、ウクライナ語で「こんにちは!」「ありがとう!」を語りかけ、「さみしくなったら、自分の家だと思って、いつでも遊びに来て下さい」という社長のあたたかいメッセージなど、ウクライナの方々に寄り添ったおもてなしでいっぱいでした。異国の日本で、ここまでしてくれる人たちもいる。そのことは、ウクライナから避難されてきた方々にとっての安心感と、日本にいていいんだという気持ちを強化することにもつながったのではないかと思います。
自然の中で、バーベキューをしてスイカを食べる。子どもたちはカブトムシを捕まえたり、馬にエサをあげたりする。ウクライナのことを思い出して涙する人もいた。ウクライナでは日常だったことが、戦争で壊れてしまった。その生活は戻せないけれど、この日本で少しでも取り戻していくことは、何よりも心のケアにつながります。祖国からのニュースで悲しいことは尽きません。異国の日本でしんどいことも多いでしょう。でも、少しでも、心が豊かになる時間があれば、きっと希望を持って生きていける。
「日本中が皆様を応援しています!だから孤独だと思わないで。なんでも困ったことがあれば私たち、全心連ウクライナ「心のケア」交流センターに言ってください。できる限りのことを全力でしていきます」という私たちからのメッセージに、「あなたたちは日本の家族です!」と言って下さった避難民の方々。自然や動物、そして人間の力で、ウクライナの方々の心と健康を守ることが、ウクライナの将来につながり、希望につながると信じています。
サドルバック牧場のみなさまと動物たち、お肉屋さんや八百屋さんをはじめとした地元のみなさま、ご参加下さったみなさま、すべてのみなさまに心から御礼申し上げます。本当にありがとうございました。引き続きのご支援、ご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。
主催:一般社団法人全国心理業連合会
「ウクライナ交流センター」在日ウクライナ人スタッフ
学生ボランティアスタッフ
全心連公認プロフェッショナル心理カウンセラー(話を聴くプロ)ボランティアスタッフ
アイディアメンタルトレーニング個別塾メンタルトレーナー・学習プロコーチ
参加人数:
53名(ウクライナの方、日本人ボランティア等含む。2日間合計)
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本企画は下記の皆様にご後援、ご協力、ご協賛をいただきました。改めて心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
後援:
一般社団法人プロフェッショナル心理カウンセラー協会
協賛:
サドルバック牧場
協力:
株式会社アイディアヒューマンサポートサービス
特定非営利活動法人ヒューマン・アニマル・インタラクション協会